目録検索と典拠コントロール |
|
目録に求められる基本的な機能に, finding と gatheringという2つがあります. 目録作業に携わる人には常識とも言える事なのですが, 典拠コントロールも, この2つの機能を発展させたものですから, もう一度, おさらいすることから始めます. 「finding(探し出す)という機能」は, 著作者の名前や書籍などのタイトルによって, 探す著作物がその図書館に所蔵されているかどうかを判断するために, もうひとつの「gathering(集める)という機能」は図書館が所蔵する全資料の中から, ある条件(例えば, ある作曲者のピアノ曲とか, あるジャンルの音楽など)に合致するものをすべて集める, または抽出するために必要です. つまり, 「探し出す機能」ではアクセス・ポイントが適正な(つまり検索可能な)形で付けられているかということが, また「集める機能」では同じ実体に対して同じアクセス・ポイントが例外なく付けられているかが問われます. また, この機能には似通ったものの集合を作るという効果もあります. これは主題目録や音楽作品の統一タイトルでは特に重要です. その反面, 似通っているとは言っても実際は別物ですから, 全く同じ形というのでは区別がつきません. ここでは1つの例として, ハイドンの交響曲の統一タイトルの一覧と交響曲の件名標目の一覧を, 部分的ですが, あげておきました.
(a) 統一タイトル |
Haydn, Joseph, 1732-1809. Symphonies,
H. I, 1, D major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 10, D major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 100, G major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 101, D major |
Haydn, Joseph, 1732-1809. Symphonies,
H. I, 102, B♭ major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 103, E♭ major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 104, D major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 104, D major. Andante |
Haydn, Joseph, 1732-1809. Symphonies,
H. I, 104, D major; arr. |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 105, B♭ major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 107, B♭ major |
Haydn, Joseph, 1732-1809.
Symphonies, H. I, 108, B♭ major |
(b) 件名標目 |
Symphonies. |
Symphonies (Alphorn,
chimes with string orchestra) |
Symphonies, Arranged |
Symphonies (Band) |
Symphonies (Band),
Arranged. |
Symphonies (Bass clarinet
with orchestra) |
Symphonies (Bassoon,
clarinet, flute, horn, oboe) |
Symphonies (Bassoon,
clarinet, flute, horn, oboe), Arranged |
Symphonies (Bassoon, oboes
(2) with string orchestra) |
Symphonies (Bassoons (2),
clarinets (2), flute, horns (2), oboes (2)) |
Symphonies (Bassoons (2),
clarinets (2), horns (2)) |
Symphonies (Bassoons (2),
clarinets (2), horns (2), double bass) |
Symphonies (Bassoons (3),
clarinets (2), horns (2), oboes (2)) |
Symphonies (Bassoons (3),
clarinets (2), horns (2), oboes (2)), Arranged |
Symphonies (Brass band) |
Symphonies (Brass
ensemble) |
Symphonies (Brass
ensemble), Arranged. |
Symphonies (Chamber
orchestra) |
Symphonies (Chamber
orchestra), Arranged. |
どちらも出典は LC (合衆国議会図書館) の典拠ファイルですが, 例えばハイドンの交響曲の場合, ここにあげた, わずか10曲の中に変ロ長調の曲が5つもあります. このような衝突を避けるために, ハイドンの場合はホーボーケンのテーマ索引番号を区別のために使います. 件名標目の場合も, 交響曲はオーケストラ演奏を前提とした形式ですが, オーケストラ以外の交響曲を区別しなければならないために, オーケストラでない場合には演奏手段を付け加えて区別します. つまり, 似たような形にすることと, 似たもの同士をはっきりと区別することを同時に実現するという, 一見すると矛盾した扱いが求められることがあるのです.
カタロガーには標目形の調整をとる能力とともに, アクセス・ポイントを選定する能力も必要なのですが, こちらも, また微妙なケースも多く, 例えば映画やオペラなどのように多数の関係者がクレジットされる著作物では, どの範囲までアクセス・ポイントに選択するか, 迷うこともあります. 規則では「情報源で顕著に表示されている」と示されているだけです. 同じ作品でも, 資料現品ごとに出演者の強調のされ方が異なり, ある資料ではアクセス・ポイントになるものが, 別の資料ではそうならないケースも出てきます. また一方, 基本的にマイノリティー, つまり, 少数派に着目する, という原則を持つ主題目録作業では, その分野とかジャンルのマイノリティーが目の前の著作物に含まれているのかどうか, という分析力とその前提となる知識も必要です. 毎日, 同じような資料を扱ってはいても, 1つとして同じものはありません. カタロガーとは, 誠実な仕事をしようとすれば, その仕事に就いた瞬間からリタイアする瞬間まで, まさに調査と勉強の繰り返しなのです. ひとつ, 例をあげます. シェイクスピアの戯曲を原作にしたオペラ, マクベスに作曲者に対するアクセス・ポイントや「オペラ(歌劇)」という件名を与える事は若葉マークのカタロガーでもできるかも知れません. しかし, 原作, つまりシェイクスピアのマクベスという関連著作に対して名前とタイトルを組み合わせた形のアクセス・ポイントや, その原作が扱っているタイトル・ロールの, 11世紀スコットランドに実在した王, マクベスを題材としたドラマ, という個人名件名標目をアクセス・ポイントとして設定することが必要なケースであることを自力で発想することは, 恐らくたやすくはないと思います. では, なぜ, このような追加のアクセス・ポイントが必要なのでしょうか. 例えば, シェイクスピアの戯曲マクベスを研究している人やマクベスという人物のことを知ろうとしている人々に, マクベスを題材とする, さまざまな作品の存在を, 目録の検索という作業の中で気づかせることができるからです. ここでは例としてヴェルディの「マクベス」を収めた映像資料に対する書誌レコードをあげておきます. この中で黄色の網掛け, 488がシェイクスピアのマクベスという関連著作に対する標目, 600が戯曲(drama)という細目付きの個人名件名標目です.
ヴェルディの「マクベス」を収めた映像資料に対する書誌レコードの例 (Toccata DB) |
|||
****** 書誌 ****** 02075gnmngm0 2200602 0035 |
|||
001 |
00 |
|
b780031490≠ |
005 |
00 |
|
20091024135548≠ |
100 |
00 |
|
$a20091024 r 0jpny a≠ |
004 |
00 |
|
TDBA5053VR≠ |
101 |
00 |
1 |
$aita$ijpn$jjpn≠ |
122 |
00 |
1 |
$ad20040330$ad20040402≠ |
128 |
00 |
|
$aop≠ |
200 |
00 |
1 |
$aMacbeth$fGiuseppe Verdi$gfrom the Gran Teatre del Kiceu, a Gran Teatre del Liceu, Opus Arte production≠ |
2A0 |
00 |
1 |
$Aマクベス$bマクベス$E歌劇$Fジュゼッペ・ヴェルディ≠ |
302 |
00 |
|
$A4幕のメロドラマ≠ |
302 |
01 |
|
$A歌唱: イタリア語 (日本語字幕付)≠ |
304 |
00 |
|
$A台本: フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ≠ |
322 |
00 |
|
$aStage director, Phyllida Lloyd≠ |
323 |
00 |
|
$aRoberto Alvarez (Macbeth) ; Roberto Scandiuzzi (Banquino) ; Maria Guleghina (Lady Macbeth) ; Marco Berti (Macduff) ; Javier Palacios (Nalcolm) ; supporting soloists ; Orquestra Simfonica i Cor del Gran Teatre del Liceu ; Bruno Campanella, conductor≠ |
3C2 |
00 |
|
$A演出: フィリダ・ロイド≠ |
3C2 |
01 |
|
$Aカルロス・アルバレス (マクベス) ; ロベルト・スカンディウッツィ (バンクフォー) ; マリア・グレギーナ (マクベス夫人) ; マルコ・ベルティ (マクダフ) ; ハビエル・パラシオス (マルコム) ; その他の歌手 ; リセウ大歌劇場管弦楽団&合唱団 ; ブルーノ・カンパネッラ, 指揮≠ |
302 |
02 |
|
$A制作: 20043月30日, 4月2日, リセウ大劇場 (バルセロナ) におけるライヴ収録≠ |
311 |
00 |
|
$A原作: ウィリアム・シェイクスピア作の戯曲≠ |
488 |
00 |
0 |
$150000$3a85029386:Macbeth$17000 $3a83005692:Shakespeare, William, 1564-1616$404≠ |
606 |
00 |
1 |
$3a83001956:Operas≠ |
600 |
00 |
|
$3a91016681:Macbeth, King of Scotland, 11th cent.―Drama≠ |
700 |
00 |
1 |
$3a84000910:Verdi, Giuseppe, 1813-1901$400$3a85018961:Macbeth≠ |
702 |
00 |
0 |
$3a84040602:Piave, Francesco Maria, 1810-1876$401≠ |
702 |
01 |
0 |
$3a78043239:Lloyd, Phyllida$420≠ |
702 |
01 |
0 |
$3a70005591:Alvarez, Carlos, 1963-$425≠ |
702 |
02 |
0 |
$3a91006678:Scandiuzzi, Roberto, 1958-$425≠ |
702 |
03 |
0 |
$3a95019545:Guleghina, Maria$425≠ |
702 |
04 |
0 |
$3a74000110:Berti, Marco, 1962-$425≠ |
702 |
05 |
0 |
$3a78043492:Palacios, Javier, tenor$425≠ |
702 |
06 |
0 |
$3a90011341:Campanella, Bruno, 1943-$424≠ |
712 |
00 |
|
$3a92001068:Gran Teatre del Liceu (Barcelona, Spain)$425≠ |
712 |
01 |
|
$3a77046897:Opus Arte (Firm)≠ |
801 |
00 |
0 |
$aJP$bTOC$c20091024≠ |
900 |
00 |
|
$a7E≠ |
|
|
|
|
****** 媒体 ****** 00754gnmngq 22002021 0011 |
|||
001 |
00 |
|
TDBA5053VR≠ |
002 |
00 |
|
b780031490≠ |
100 |
00 |
|
$a20091024h20092004 y≠ |
115 |
00 |
|
$a023900002fdbaijhb002z1 zzb≠ |
005 |
00 |
|
20091024133630≠ |
032 |
00 |
1 |
$aTDBA-5053$aTDBA-5054$bDenon$d\7800$e20090218≠ |
102 |
00 |
|
$aJP≠ |
210 |
00 |
|
$aTokyo$cDenon$d2009, c2004≠ |
2B0 |
00 |
|
$A東京$Cクリエイティヴ・コア$Cコロムビアミュージックエンタテインメント$D2009, c2004≠ |
215 |
00 |
|
$Aヴィデオディスク2枚 (159分)$Cカラー$D12 cm.$E解説≠ |
302 |
00 |
|
$ADVD Video; 片面2層+片面1層; MPEG−2; NTSC; 16:9 LB; 音声: リニアPCMステレオ/ドルビー・デジタル 5.1ch サラウンド/DTS 5.1ch サラウンド≠ |
目録記入は, 目録対象資料の現品(つまり著作を収めている物理的媒体の事ですが), それに対する書誌的な記述, 次に, その書誌的記述を検索するためのアクセス・ポイント, そして, その物理的媒体の所在情報, この3つから構成されています. アクセス・ポイントを総合的に管理し, 目録の探し出す(finding)機能と集める(gathering)機能という, 目録に求められる2つの目的・機能を果たすための主役が典拠コントロールです. ところで, アクセス・ポイントの中には典拠コントロールを受けないものが1つだけあります. それは, いわゆる「書名」, つまり図書の題名, 資料現品に現れるタイトルです. このアクセス・ポイントだけが自然語, つまり表示され形がそのまま標目となります. 残りのアクセス・ポイントは全て統制語で, 典拠コントロールの対象です. これは, ある意味では驚くべきことで, 目録作業がいかに人件費集約型の仕事であるかを物語っています. 著作者の名前ひとつとっても, 資料現品に現れている情報だけで目録規則が指示する標目の形に整えたら, はい終わり, という訳にはいかないのです. 目録データベースと照合して, 同じ名前はいないか, もしいれば同じ人物かどうかを常にチェックしなければいけません. 音楽作品の題名となると, 実態はさらに複雑怪奇なものになります. ここでは典型例としてモーツァルトの「トルコ行進曲」につけられたさまざまなタイトルを載せました.
モーツァルトの「トルコ行進曲」につけられたさまざまなタイトル |
|
日本語のタイトル |
|
|
情熱のモーツァルト |
|
トルコ行進曲 |
|
トルコ・マーチ |
|
トルコ風ロンド |
|
トルコマーチ |
|
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K. 331 (300i). 第3楽章 アラ・トゥルカ (トルコ風に), アレグレット |
|
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 KV 331 (300i) より第3楽章 |
|
ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331より. トルコ行進曲 |
|
モーツァルトのトルコ・マーチ |
ラテン文字のタイトル |
|
|
Alla turca |
|
Marcia alla
turca |
|
Mozzart a la
folie |
|
Rondo alla
turca |
|
Sonata for
piano no. 11 in A major, K. 331 (300i). III, Alla turca, Allegretto |
|
Turkischer
Marsch |
|
Turkish
march |
|
Turkisher
march |
AACR2による統一タイトルの形 |
|
|
Sonatas,
piano, K. 331, A major. Alla turca |
最後にある網掛けの統一タイトルがなければ, これらのさまざまな形でリリースされている録音物や楽譜を一度に検索することはできません. 多くの場合に著作の題名が, それを収めた図書の書名と一致する図書のようには, 音楽作品はいきません. そこには作品のレベルまで典拠コントロールが必要な世界が広がっているのです. 所蔵目録の検索とは, 言い換えると著作や芸術作品を探すことなのですから.
次に, その典拠コントロールを担う典拠作業について見てみましょう. 典拠作業のミニマムの定義は, アクセス・ポイントの形(これには典拠標目と参照標目とがあります)を決定して, その決定に関する情報を記録する, というものですが, 実際にはもっと広範囲に渡る作業である, というのが実感です. 書誌レコードへのリンク, これには典拠標目を単にコピーするものから, 典拠レコードへのポインタ(例えば典拠レコード番号)を埋め込むというものまで様々な段階がありますが, この作業を別の担当者に任せるとしても, 典拠データベースに統合(つまりアップロード)するときにすでに登録されている別のレコードと衝突(コンフリクト)しているかも知れません. 例えば, 個人の場合の同姓同名などですが, これが典拠標目同士なら, 新たな標目を作る前に行う検索で把握できると思います. しかし, 参照標目と典拠標目の衝突, または参照標目同士の衝突の場合, 登録後の検索で発覚する場合も多いのです. さらに, 既にある典拠レコードを訂正しなければならない事もあります.
アリ・ジャクソンの事例 |
Jackson, Ali Jackson, Ali, 1931-1987 see
Jackson, Ali Mohammed |
ドラマーの典拠レコード (LCN) [一部省略]
000 |
00511cz a2200133n 450 |
005 |
20070516052356.0 |
008 |
010209n| acannaabn |n aaa
c |
010 |
__ |a no2001011198 |
040 |
__ |a PPi-MA
|b eng |c PPi-MA |d PPi-MA |
100 |
1_ |a Jackson,
Ali |
670 |
__ |a Bridgewater,
D. Live at Yoshi’s [SR] p2000: |b container (Ali Jackson,
drums, percussion) insert (Ali Jackson II) |
670 |
__ |a Marsalis,
W. From the plantation to the penitentiary [SR] p2007: |b container
(Ali Jackson, Jr., drums) |
ベーシストの典拠レコード (LCN) [一部省略]
000 |
00975cz a2200193n 450 |
005 |
20010906145421.0 |
008 |
000316n| acannaabn |a aaa
c |
010 |
__ |a no
00018347 |z no 00059783 |
040 |
__ |a OBgU-MA
|b eng |c OBgU-MA |d PPi-MA
|d DLC |
100 |
1_ |a Jackson,
Ali Mohammed |
400 |
1_ |a Jackson,
Ali, |d 1931-1987 |
670 |
__ |a Alex
Kallao Trio. The Alex Kallao Trio in concert [SR] 1957: |b container
(Ali Mohammed Jackson, bass) |
670 |
__ |a Harden,
W. The complete Savoy sessions [SR] p1999: |b insert (Ali
Jackson, bass) |
670 |
__ |a Enc.
of pop. mus., 3rd ed. |b (under Jackson, Oliver: Ali
Jackson, d. 1987; bass player, brother of Oliver Jackson) |
670 |
__ |a Social
Security death index on RootsWeb, July 31, 2001 |b (Ali
Jackson; b. Mar. 29, 1931, d. July 1987) |
ここでは個人標目の衝突の事例を載せました. アリ・ジャクソンは, どちらもジャズのプレイヤーですが, このケースでは, 典拠標目同士の衝突はないのですが, 典拠標目と参照標目の間で衝突が起きています. このため, 年代の判明している側にその情報を追加して衝突を避けています. 同じ事が統一タイトルでも起こります. つぎはシューベルトの「死と乙女」の事例ですが, こちらでも統一タイトル同士は衝突していないのですが, 参照のタイトルの1つと衝突するために, 一方の歌曲の統一タイトルにも区別するための限定語 (Song) が追加されています. それぞれのレコードの網掛け部分です.
シューベルトの「死と乙女」の事例 |
Schubert, Franz, 1797-1828. Tod und das Mädchen
(Song) Schubert, Franz, 1797-1828. Tod und das Mädchen
(String quartet) see
Schubert, Franz, 1797-1828. Quartets, strings, D. 810, D minor |
歌曲の典拠レコード (LCN) [一部省略]
000 |
00833cz a2200205n 450 |
008 |
781221n| acannaabn |a aaa |
010 |
__ |a n
78097109 |
040 |
__ |a DLC
|b eng |c DLC |d DLC |d OOC |
100 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Tod und
das Mädchen (Song) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Mirtis ir mergelė |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Smertʹ i devushka |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Death and a girl |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Death and the
maiden (Song) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Jeune fille et la
mort (Song) |
670 |
__ |a Deutsch:
|b p. 233 (531. Der Tod und das Mädchen ... song (op. 7, no. 3; XX
302)) |
弦楽四重奏の典拠レコード (LCN) [一部省略]
000 |
01537cz a2200301n 450 |
005 |
20070612033125.0 |
008 |
830728n| acannaabn |a aaa |
010 |
__ |a n
83046551 |
040 |
__ |a DLC
|b eng |c DLC |d DLC |d PPi-MA
|d DLC |d PU-AML |
100 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Quartets,
|m strings, |n D. 810, |r D minor |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Death and the
maiden (String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Jeune fille et la
mort (String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Quartets,
|m strings, |n no. 14, |r D minor |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Morte e la
fanciulla (String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Tod und
das Mädchen (String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Death & the
maiden (String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Mirtis ir mergelė
(String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Smertʹ i devushka
(String quartet) |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Death and the girl |
400 |
1_ |a Schubert,
Franz, |d 1797-1828. |t Mädchen und der
Tod (String quartet) |
670 |
__ |a Schubert,
F. Quartet no. 14 in D minor [SR] 1987: |b label (Quartet
no. 14 in D minor : Death and the maiden) |
670 |
__ |a New
Grove |b (D. 810. String quartet, d, "Der Tod und das
Mädchen") |
952 |
__ |a RETRO |
このように, 参照標目といえども, 1つの標目として典拠標目と同じ基準でコントロールしなければなりません. これは, 最初で触れた目録に求められる機能の1つ, 似たもの同士をはっきりと区別する, という事を実現するためなのです.
また, オーケストラなど, 団体名の名前が変更されることもよく起こります. 経営母体が替わるとか, さまざまな理由によって起こるのですが, 前の名前と新しい名前をめぐって, その使い方が混乱するケースもあります. つぎの例では, 目録作業で標目の選択を誤らないように, カタロガー用の注記というかたちで標目の適用範囲についての情報が入っています (B50の網掛け部分). これも, 標目や参照の調整に留まらない, 典拠コントロールの重要な側面のひとつです.
適用範囲の注記を含むレコード [一部省略] |
02560axmn x 2200426 0025 001 00 a71006923≠ 100 00 $a20020311 a axxx aax0jpn≠ 020 00 $an 98046962 ≠ 180 03 2 $aJP$bTOC$c20020311≠ A1A 00 02 $wn 20020311 ac001x x x $aKoninklijk Concertgebouworkest≠ A1K
00 $wn 20020311
zj002x x x $Aロイヤル コンセルトヘボウ管弦楽団$aロイヤル
コンセルトヘボウ カンゲン ガクダン≠ B50 00 $wn 20020311 az003x x x $bRoyal$Aという表示は1989年頃から明示されている; 過去の録音が再発売される場合, 誤って新しい名称が使用されることがある.≠ C60 00 $wn 20020311 zz004x x x $ae-ne---≠ CB0 00 $wn 20020311 ax005x x b $3a83003665:Concertgebouworkest≠ CBA 00 $wn 20020311 ac006x x a $aVereiging "Het Concertgebouworkest"≠ E1A 00 02 $wn 20020311 az007x x x $aRoyal Concertgebouw Orchestra≠ E1K
00 $wn 20020311
zz008x x x $A王立コンセルトヘボウ管弦楽団$aオウリツ
コンセルトヘボウ カンゲン ガクダン≠ E1K 01 $wn 20020311 zz009x x x $A王立アムステルダム コンセルトヘボウ管弦楽団$aオウリツ
アムステルダム コンセルトヘボウ カンゲン ガクダン≠ F00 00 $wn 20020311 xx010x x x $aConcerto for orchestra [SR] ... / Béla
Bartók, 2001 (label)$bRoyal Concertgebouw Orchestra$A(付属資料)$Bロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団≠ F00 01 $wn 20020311 xx011x x x $aConcertgebouw, Amsterdam [SR]. 1991
(label)$bRoyal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam$A(解説)$B王立アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団≠ F00 06 $wn 20020311 xx016x x x $aLC Name auth. n 98046962, Last rev. DLC 2001.09.12$bhdg.: Koninklijk Concertgebouworkest≠ |
典拠コントロールとは, 典拠標目を核として, 参照標目や関係する別の典拠標目との相互参照, 場合によっては注記の情報をも含む, 典拠レコード全体によって書誌レコードや目録データベースのアクセス・コントロールを実現するための技術, と言うことができます.
さて, 既存の典拠レコードへの修正という局面が出たついでに, 典拠作業のもうひとつの側面について, これはぜひ, 触れておかなければならない点があります. それが, 過去に作成した典拠レコードのメンテナンス作業です. ある意味で, 変化し続けること自体が典拠ファイルの特性ですから, その変化を適切に反映させることもまた典拠作業の重要な側面です. 世の中が変化し続けているのですから当然と言えば当然なのですが, 例えば, 個人の名前はさまざまな事情で変わります. 結婚で姓が変わる, 本人の意思で改名するなどです. また団体の名前もよく変わります. 音楽の世界に目を向けると, オーケストラの場合など, そのオーケストラの運営団体, たとえば放送局などの再編などの外的要因で名前が変わることもたびたび起こります. これらは自然的な理由による変化ですが, 典拠作業と言っても人間のすることですから, 訂正しなければならない間違いも見つかります. 入力ミスだけではなく, 新たな情報源の出現によって過去の標目を訂正しなければならないことも起きます. 典拠標目には影響しない, 補助的な情報の追加などもあります. このような変化の影響は典拠ファイルにとどまらずに書誌ファイルにも及ぶケースも多いのです. たとえば2009年に亡くなったマイケル・ジャクソンさん. 前の標目は (Jackson, Michael, 1958-) でしたが, 現在の典拠標目は (Jackson, Michael, 1958-2009) と変更になりました.
マイケル・ジャクソンのレコード [一部省略] |
02304axmc x 2200394 0023 001 00 a86022660≠ 100 00 $a19860710 a axxa aax0jpn≠ 020 00 $an 83133203 ≠ 180 03 2 $aJP$bTOC$c20090628≠ A0A
00 1 $wn 20090628 ac001x x x $aJackson$bMichael$f1958-2009≠ A0K 00 $wn 20090626 zj002x x x $Aジャクソン$Bマイケル$F1958−2009$aジャクソン$bマイケル$f1958-2009≠ C60 00 $wn 19860710 zz003x x x $an-us---≠ C61 00 24 $wn 20091015 zz004x x x $bd19580829$bd20090625≠ C76 00 $wn 20091027 xx005x x x $v20$a782.42/166/092$cBiography≠ C78
00 $wn 20090109
ax006x x x
$aML420.J175$cBiography≠ F00 00 $wn 20090109 xx007x x x $aKing of pop [SR] 2008 (label)$bMichael
Jackson$A(容器)$Bマイケル・ジャクソン≠ F00 01 $wn 20090626 xx008x x x $aNew York times, 2009-06-26$bMichael Jackson,
pop icon, is dead at 50: Michael Jackson; singer, songwriter and dancer; died
Thursday [i.e. June 25, 2009]≠ F00 08 $wn 20090628 xx015x x x $aLC Name auth. n 83133203, Last rev. DLC 2009-06-26$bhdg.: Jackson, Michael, 1958-2009≠ |
電子的なリンクが行われていない書誌ファイルの標目も当然, これに従って訂正しなければなりません. 次の例などはかなり昔の事実が, 最近になってLC の典拠レコードに反映された, 作曲家八村義夫さんのケースです.
000 |
00775cz
a2200193n 450 |
005 |
20090622080151.0 |
008 |
920427n|
acannaabn |b aaa c |
010 |
__
|a nr 92016002 |
040 |
__
|a NjP |b eng |c NjP |d OCoLC
|d DLC |
100 |
1_
|a Hachimura, Yoshio, |d 1938-1985 |
400 |
1_
|a 八村義夫, |d 1938-1985 |
670 |
__
|a His Constellation [SR] p1988: |b label (Yoshio Hachimura)
insert, p. 4 (b. 1938) |
670 |
__
|a Email from Toccata Corp., June 22, 2009 |b (Wikipedia
(Japanese), June 22, 2009: (八村義夫 = Hachimura Yoshio; b. Oct. 10, 1938, Tokyo; d. June 5, 1985,
composer) |
また, たとえば実際は同じ団体なのに, 全く違う形で現れているために二重に典拠標目を作成してしまい, かなり後になって新たな証拠が見つかって, 実際は片方を残し, もう一方を典拠ファイルから削除するという方法で, 典拠レコードを統合させるというケースもあります. この場合などはある意味最悪で, 例え電子的なリンクを行っていたとしても書誌レコードの標目訂正 (典拠リンクの張替え) を避けることはできないのです.
000 |
01027cz
a2200205n 450 |
005 |
20070416110414.0 |
008 |
781220n|
acannaab |a ana |
010 |
__
|a n 78097094 |z n 83194261 |
040 |
__
|a DLC |c DLC |d DLC |
110 |
2_
|a Berner Streichquartett |
410 |
2_
|a Berne String Quartet |
410 |
2_
|a Quatuor de Berne |
410 |
2_
|a Quatuor à cordes de Berne |
670 |
__
|a Schmitt, F. Quintette pour cordes et piano en si mineur, op. 51
[SR] c1982 (a.e.) |b labels (Quatuor de Berne) container
(Quatuor à cordes de Berne) |
670 |
__
|a Ferneyhough, B. Sonatas for string quartet [SR] p1978 (a.e.)
|b label (Berne String Quartet) program notes (wie...des Berner
Streichquartetts) |
670 |
__
|a Basle Chamber Music Society database, viewed Apr. 6, 2007
|b (Berner Streichquartett; founded 1971) |
670 |
__
|a Bibliothèque nationale de France, WWW site, April 11, 2007
|b (Berner Striechquartett ; Forme(s) rejetée(s): Berne String
Quartet; Quatuor à cordes de Berne) |
目録情報が電子媒体となっている現在では, 全文検索に象徴されるように, まさに多角的な検索が可能になっています. そうは言っても, 高度なデータベース検索は, 品質の良いコンテンツ(つまり情報の内容)と高機能・高性能の検索エンジンとを組み合わせて初めて実現します. 検索結果はいずれか低い方のレベルでしか返ってきません. いくら高機能・高性能の検索エンジンでも, 存在しない情報は検索できませんし, その逆に情報があってもデータベースで検索項目として定義していなければ検索はできません. また, 検索できてもノイズ (いわゆる検索上のゴミです) にマスキングされて, 検索者が見過ごしてしまうというケースもあります. ヒット件数が多ければ良いというものでもありません.
データと検索エンジンは, 一般的にはこのような関係にありますが, 検索という観点から典拠コントロールについて考えてみます. 典拠標目に加え, 参照標目や関連標目への相互参照などによってアクセス・ポイントを豊かにして, 標目を孤立させない仕組みを持っている典拠ファイルですが, 場合によっては典拠標目を知らなければ検索できないという事もあります. これは標目が持っている階層構造に主な理由があります. 典型的なのが親団体と下部団体という形で構成される団体標目, 例えば放送局に付属するオーケストラとか, 大学に付属する図書館などです. 統一タイトルで言えば, 大きな作品とその抜粋, 例えばオペラのアリアなどです. 現在の目録規則での参照標目に関する方針は, 参照標目を同じレベル (つまり同じ階層レベル) にある典拠標目に対してのみ作る, というものです. 例えば, オペラのアリアの場合, その統一タイトルの参照には, オペラ全体に対する参照タイトルを含めないのです. 次の事例は椿姫として知られているオペラ全体と, その中で歌われる1つのアリアに対する典拠レコードです.
(a) オペラ全体 [一部省略] |
03111atmn t 2200650 0039 001 00 a84001046≠ 100 00 $a19840416 a axxx aax0jpn≠ 002 00 a84000910≠ 020 00 $an 80138517 ≠ 180 02 2 $aJP$bTOC$c20060301≠ A5A 00 3 $wn 19840416 ac001x x x $aTraviata≠ A5K 00 $wn 19840416 zz002x x x $A椿姫$aツバキヒメ≠ C61 00 00 $wn 19840416 iz004x x x $bd1853≠ C76 00 $wn 19840416 xx005x x x $v20$a782.1≠ E5A 00 3 $wn 19940415 az022x x x $aLost one≠ E5A 01 3 $wn 19940415 az023x x x $aVioletta≠ E5A 02 3 $wn 19940415 az024x x x $aVilseforda≠ E5K 00 $wn 19970310 zz025x x x $Aトラヴィアータ$aトラヴィアータ≠ E5K 01 $wn 19970310 zz026x x x $A道にはずれた女$aミチ ニ ハズレタ オンナ≠ E5K
02 $wn 20060301
zz027x x x $A道を踏み外した女$aミチ オ フミハズシタ オンナ≠ F00 00 $wn 19940415 xx027x x x $aOpera duets [SR] 1994 (label)$bLa traviata$A(解説)$B歌劇「椿姫」≠ F00 01 $wn 19970310 xx028x x x $aLa traviata [SR] / Verdi. 1996 (notes)$B歌劇「椿姫」 (ヴェルディがつけた「ラ・トラヴィアータ」という題の意味は「道にはずれた女」という意味; 小説のヒロイン, マルグリット・ゴーティエが劇場に現われる時, 椿の花束を持った, に由来して小説出版時に翻訳者の森鴎外がつけた邦題「椿姫」がオペラでもそのまま使用されている)≠ F00 02 $wn 20060301 xx029x x x $aLa Traviata [VR] c2004 (booklet, p. 8)$Bヴェルディの「椿姫」(正式な題名は「La traviata 道を踏み外した女」); 1853年3月6日, フェニーチェ座(ヴェネツィア)で初演; 音楽の細部をかなり書き換えた改訂版(現行版)は1854年5月6日, サン・ベネデット劇場(ヴェネツィア)で初演≠ F00 03 $wn 19940415 xx030x x x $aLC Name auth. n 80138517, DLC 1980.12.22$bhdg.: Verdi, Giuseppe, 1813-1901. Traviata≠ |
(b) オペラからの抜粋 (アリア) [一部省略] |
03453atmn t 2200586 0035 001 00 a86011413≠ 100 00 $a19860508 a axxx aax0jpn≠ 002 00 a84000910≠ 020 00 $an 81118738 ≠ 180 03 2 $aJP$bTOC$c20050326≠ A5A 00 3 $wn 19860508 ac001x x x $aTraviata$iSempre libera≠ A5K
00 $wn 19860508
zz002x x x $A椿姫$I花から花へ$aツバキヒメ$iハナ カラ ハナ エ≠ B50 00 $wn 19940415 az003x x x $bSempre libera$Aは$bAh, fors' e lui che l'anima$Aを含むレチタティーヴォ$bÈ strano$Aで始まり$bSempre libera$Aで終わるシーンの部分である.$bSempre libera$Aが単独で現われた場合はそのように記入する. このアリアがレチタティーヴォの有無にかかわらず, 先行するアリアと共に現われた場合には$bAh, fors' ...$Aを2つのアリアを総合するものとして目録する.≠ C76 00 $wn 19860508 xx004x x x $v20$a782.1≠ E5A 00 3 $wn 19860508 az007x x x $aSempre libera≠ E5A 01 3 $wn 19940415 az008x x x $aVon der Freude Blumenkränzen≠ E5A 02 3 $wn 19940415 az009x x x $aFollie! follie!≠ E5A 03 3 $wn 20010828 az010x x x $aTraviata$iFollie! follie!≠ E5A 04 3 $wn 20010828 az011x x x $aSempre libera degg'io≠ E5A 05 3 $wn 20050326 az012x x x $aI'll fulfill the round of pleasure≠ E5K 00 $wn 19860508 zz013x x x $A花から花へ$aハナ カラ ハナ エ≠ E5K 01 $wn 19860508 qz014x x x $A花より花へ$aハナ ヨリ ハナ エ≠ E5K 02 $wn 20010828 zz015x x x $Aいつも自由で, 快楽から快楽へ$aイツモ ジユウ デ カイラク カラ カイラク エ≠ E5K 03 $wn 20010828 zz016x x x $A椿姫$Iどうかしてる! どうかしてる!$aツバキヒメ$iドウカ シテル ドウカ シテル≠ E5K 04 $wn 20010828 zz017x x x $A馬鹿らしい! 馬鹿らしい!$aバカラシイ バカラシイ≠ E5K 05 $wn 20010828 zz018x x x $A椿姫$I馬鹿らしい! 馬鹿らしい!$aツバキヒメ$iバカラシイ バカラシイ≠ E5K
06 $wn 20010828
zz019x x x $A私はいつだって自由$aワタクシ ワ イツダッテ ジユウ≠ F00 00 $wn 20010828 xx020x x x $aCon amore [SR] / Ruth Ann Swenson, 2001
(insert)$bSempre libera : from La traviata, Act 1 / Giuseppe Verdi$B花から花へ (いつも自由で, 快楽から快楽へ)≠ F00 01 $wn 20040108 xx021x x x $aLa forza dell' amore [SR] 2003 (insert)$bLa
traviata. Follie! follie!-- Sempre libera (Violetta/Alfredo); act 1$B歌劇「椿姫」. 馬鹿らしい! 馬鹿らしい!−− 私はいつだって自由 (花から花へ)≠ F00 06 $wn 20050326 xx026x x x $aLC Name auth. n 81118738 (RETRO), Last rev. DLC 2004-05-03$bhdg.: Verdi, Giuseppe, 1813-1901. Traviata. Sempre libera≠ |
オペラ全体のレコードに含まれる6つの参照 (Eで始まるタグの網掛け部分) はアリアのレコードでは参照とはならないのです. このことは, これら6つの参照タイトルによる検索では, 作品全体に対する典拠レコードしか検索できないことを意味しています. 細目つきの件名標目にも同じことが言えます. 典拠コントロールを行えば, 検索への備えは万全, と思いがちですが, 決してそうではなく, 典拠標目の形を知ることは, やはり必要なのです. そして, 例えば, このオペラの抜粋曲を一覧したいなど, 目的によっては, その形で検索し直さなければならないのです. これは「できるだけ数多くヒットさせる」という意味での利便性とは矛盾するようですが, 一貫性のある参照構造を保つ意味で, また, 同じデータの無駄な繰り返しと, そこから生まれる検索ノイズを防ぐ意味でも必要なことなのです.
目録に求められる機能とアクセス・ポイントの形や選択の問題, その中心的役割を果たす典拠コントロール, そのための典拠作業などについて, 実際の事例を交えながらできる限り分かりやすい説明を試みました. 現実の典拠作業の世界は, 多くの仕事がそうであるようにもっと複雑です. また, 参考文献などを調査するといった時間のかかる作業が不可欠であるために, 外から見るとコストのかかる非効率的な作業に見えるかも知れません. しかしながら, 典拠コントロールの効果として, 検索漏れを相当程度防ぐことができ, 結果として貴重な予算で購入した図書館資料を目録で検索できないために利用されない, といった不幸な事態を少なくすることに繋がるのです. 1件の典拠レコードには標目以外にも多くの項目が入っていますが, これらは類似した標目と区別するために必要な情報です. 典拠作業の主たる目標は目録に求められる機能の実現にあります. 典拠作業の目的はこれ以上でもこれ以下でもありません.